逆さ撮り・盗撮犯罪小説「パンティ・イーター」

同僚から国際線CAまで半年間で200人以上を逆さ撮りした撮り師の独白

14. スマホと盗撮

「大盗撮時代」。それは、ある革新的機器の普及によりもたらされたと言っていいだろう。スマートフォンおよびスマホアプリである。2007年にアメリカ合衆国で産声を上げたスマートフォンiPhone」は日本国内でも2008年にiPhone 3Gが発売開始されるとiPhone 3GSiPhone 4へと毎年モデルチェンジを重ねながら爆発的にユーザー数を伸ばして行った。そして他のメーカーも追随、iPnone、Andoroid系端末と双璧を成すまでにわずか数年足らずであった。

 

 

それまでのカメラ付き携帯電話から飛躍的に機能、画質が大きく向上すると共にシャッター音を消すアプリ、カメラが起動していることをわかりにくくする画面を表示させるカメラアプリなどが乱立。明らかに盗撮用と思われるも、「ペットを撮る為」「赤ちゃんの寝顔と撮る為」「悪用厳禁!」と白々しい文句を唱い、売られている。

 

特殊カメラと異なり、多数の一般人が手にするスマートフォンで誰でもそんなアプリをダウンロードし撮影ができる環境となったため、盗撮のハードルが一気に下がってしまったのだ。

 

エスカレーターで短いスカートを履いた女を目の前にしながら手に新たに手に入れたスマートフォンと無音カメラアプリ。多くの一般男性の頭を狂わせるのも無理は無い。

 

デジカメや特殊カメラでは勇気のなかった素人が、スマホで盗撮を始めた。ヘタクソな奴から捕まっていき、またたく間に検挙率は伸びる。各県は迷惑防止条例を制定、盗撮を検挙するための体制側の攻勢が強まった。しかしそれでも男達の性であるパンティを見たいという欲望は抑える事ができなかった。先に述べたように、今や年間検挙数は千単位で増え、その7割がスマートフォンを使用した盗撮である。

 

スマートフォンが全ての盗撮魔たちを喜ばせたかと言えば、そうではない。素人が捕まっていき、監視の目、女達の警戒が強まることによりプロを標榜する撮り師たちは仕事がしにくくなったのだ。撮り師たちにとっては素人が手を出し捕まり、ニュースになることは迷惑千万なことであった。

 

他人のことに関心はないが、おそらく「撮り師」と呼ばれるプロこそ撮影にスマートフォンを用いることは少ないだろう。俺自身の体験からそうわかる。撮影を重ねるうちにより鮮明な画質を求めるものだ。2017年現在の最新機種でさえもスマートフォンの画質は安物のコンパクトデジカメを除けばやはり画質の面で本来のデジタルカメラ機器には敵わない。プロになればなるほど高性能カメラを巧みに操り撮影を行う。スマートフォンはレンズ性能では圧倒的に不利だ。

 

スマートフォンで高画質が撮れるのは充分以上の光量がある場所に限る。日中の自然光が当たる環境であればスマートフォンでも問題ない。所謂「街撮り」と言われるジャンルである街中を歩く女の盗撮の場合、日中の屋外や明かりがある店内などで離れた場所から女の体や脚、着衣の上からの尻や胸の膨らみなどの各パーツを狙うためスマホは重宝する。しかしスカートの中は光が遮られ屋外ならまだしも、薄暗い駅構内や書店などの店内ではスマホでは大した画質は得られない。照明となるものの無いまま撮影してもノイズの酷い粗いものになることがほとんどだ。そこに手ブレが加わったりしたら俺からすると見られたものではない。

 

つまり素人がスマホをスカートの中につっこんでもリスクが高い一方で得られるもの(撮れる画像・動画の質)は自己満足程度のものでしかないであろう。素人の逮捕が相次ぐ為、盗撮と言えばスマホというイメージを抱く一般人も多いだろうが、本当に巧みなプロの撮り師はスマホなど使わないのだ。

 

そんなことを述べつつも、俺自身もやはりスマホを初めてに手にした時は浮かれたものだ。アスリート、音楽家、職人、どんなプロにも素人時代があるように、撮り師にもスマホで撮影に明け暮れていた日々がある。

 

路上痴漢で暴れていた若き日の暴走から約6年。再び俺の中に棲む魔物が目を覚ましたのは最初の白いスマートフォンを手にした時だった。そして「あの女」との出会いが再び俺を惑わせ、やがて世の中に多数の被害者を生む狂犬にした。

 

一度は足を洗った盗撮に再び俺が手を染めてしまった訳。それを語っていこう。